和音感持ちのヘンデリアン

モーツアルトやベートーヴェンも讃えまくっていたバロック時代の作曲家ヘンデル(1685.2.23 - 1759.4.14)の和音語を和音感で解析し、その構文を探る

脱線:ベートーヴェン「交響曲第5番」

ベートーヴェン生誕250年祭の今年。

そういえば昔、FMラジオから流れてきて、私が初めて、この有名な“ジャジャジャジャーンの曲”を「あれ?面白い…」と最後まで聴いてしまった演奏の指揮者が、カルロス・クライバーだった。


Beethoven Symphonie Nr. 5 / Wiener Philharmoniker, Carlos Kleiber

これ、1974年の録音だったとは…。

今聴いても、飛び抜けた名演である。全ての音が有機的に響き合って、生命感のある形を描き出し、隅々まで覚醒した音楽表現。

改めて繰り返し聴くうちに、私の脳内に降ってきたイメージが整理され、かなり具体的な物語の大スペクタクル・エンターテインメント作品になってしまった。

御興味のある方は、御参考まで。

チャップリン映画と昔のディズニー・アニメを足した感じの、様式美的な演出。

I. 雷鳴轟く嵐の中の航海。陸が見え、希望に湧き立つ船員達。が、船体は木の葉のように舞い、次々と襲いかかる大波。落雷で穴が開き、浸水…そして難破。もうだめか…。いや、陸は近い、希望を持て!しかし荒れ狂う波に翻弄され、運命や如何に…!

II. 流れ着いた国の宮廷で、主人公は、たおやかな姫に御挨拶する。威勢を誇示して迫ってくる権力者に困惑している姫が、踊りの相手に選んだのは主人公(姫の視線が彷徨って、ストンと主人公に来る)。優雅に踊りながら語らっているところに、割り込んできてパートナーチェンジさせる権力者と、主人公の元に戻ってくる姫との攻防。脅迫じみてきた権力者。弱々しくその場から逃れた姫が、主人公に打ち明け話をする。腹を立てた権力者は、手下に何かを命じる(自分の軍隊を動かしたようだ)。一方、主人公は熱血漢の血が燃え上がり、姫に「お味方致しますぞ!」。動物達の動き、主人公と姫の様子、権力者の様子を順に映して、その日が終わる。(姫と権力者も動物かもしれない。)

III. 権力者の不穏な動きによって(途中、目撃者の動物が走る)、姫が囚われの身に(3拍子系のモチーフ)。きびきびした動物達の動き。空から潜入した鳥(動物側スパイ)が、権力者軍の歩哨の目をかいくぐって、囚われの姫(3拍子系のモチーフ)を発見(救出)。

IV. 動物達が一斉蜂起して権力者軍を襲撃(動物のタイプ別役割分担のコミカルな描写も)。ついに勝敗が決し、権力者軍が敗走。大勝利に湧いて、戦いぶりを振り返る。めでたしめでたし(祝宴で動物達が踊るなど)。

ハラハラ・ドキドキ・ワクワク!の快作、快演。

動物達は「民衆」、姫は「国」か何かの寓意であると思われる。航海で嵐に遭って難破して漂着する設定は、『ガリヴァー旅行記』か。

勿論、私の脳内イメージは、個人的な感受性と経験や知識に基づく、極めて個人的な体験。

音楽の好み、感じ方、楽しみ方は、人それぞれですよね。