和音感持ちのヘンデリアン

モーツアルトやベートーヴェンも讃えまくっていたバロック時代の作曲家ヘンデル(1685.2.23 - 1759.4.14)の和音語を和音感で解析し、その構文を探る

3.和音感で探る「Zadok the Priest」の前奏部分


Zadok the Priest - Handel

ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式(1727年)のためのアンセムより「ザドク」(HWV258)

UEFA欧州サッカー連盟チャンピオンズリーグのアンセムの原曲」なのだそうだ。

一見シンプルな和音ばかりに見えるが、この長めの前奏には物語性を感じる。第1ヴァイオリンのアルペジオ(+他パートの違う音)からコードシーケンスを解析しつつ、妄想力を発揮してみた。

[前段]

レファラレ(D)[神の調であるDから]→ミソシミ(Emだが前のコードの影響でEm7の色があって温かい)ミラドミ(Em+5 add4[敬虔な感じ]→ファラレファ(ファラレミ:F7 +5の一部というか、このミの色も前のコードの影響か)[晴れやかな感じ]→

ソシレソ(G)[(G調は生命感を感じる)人の世をすっきりと見据えた感じ]→ラドミソ(A7[7コードにはパワーを感じる]→ファラレファ(ミ)/レソシレ( add9のようなA6 sus4からDdim6のようなAM7 sus4 add9ラミラド♯…(A)

[ここまで、温かく神聖な光に包まれて、根音(と調性)の階段をゆっくり上り、神(D)の祝福を受けて玉座(A)に]

[後段]

ラドミラ(A)[玉座についた王(このAコードはmajesticな印象を受ける)]→シレファシ(Bmだが前のコードの影響でBm7の色があって温かい)シミソシ(Bm+5 add4ラミドミ(A)[Aから見た上空Bが敬虔な色に染まっていて、天使達が王を祝福?]

レファラレ(D)シレソシ(D6[6コードにはスピリチュアルなものを感じる]→ミラド(A)[神(D)から王(A)にお告げ?"God said unto the King"というフレーズかもしれない]

ミシミラ/ミシミソ(Esus4からEm)ミドミソ/ミファファ♯/ミファミ(Em6からEm6 add9[このEmのシーケンスは、これから王が立ち向かうことになる困難の予言?]

レファシレ(D6))[6はスピリチュアル]→ラレファ/レファラド(DからD7[7はパワー][神が加護を約束?]

シレソシ(G)ソシミソ(G6[人の世(G)の精神性(6コード)を感じる]

ラドミソ/ァラレファ(A7からDの構成音のA6 sus4[王(A)のパワー、神の光に照らされ]→ラミレミ/ラミドミ(A sus4からA)[sus4からメジャーコードへの解決は、'70sポップス等でしばしば遭遇する、明るい希望を感じさせる鉄板モチーフだ]

そして、合唱が戴冠を讃えて祝祭へと続く。 以上のようなストーリーと共に、伝説の英雄などを思い浮かべて聴くと、合唱の歌い出しで感極まる。この解釈、いい線いっていそうな気がするのだけれど。

そう言えば子供の頃、D7コードを覚えた時に、なぜか突き通るようなパワーを感じて「取り扱い注意」だと思った。不思議だ。